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title: "教科書のない教室が生みだすインストラクショナルデザイン（学習設計）の力"
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date: 2026-05-27
modified: 2026-05-27
author: "admin"
description: "カナダで15年以上、小学校の教壇に立ってきた私ですが、教育に..."
categories:
  - "学びのデザイン"
  - "コラム"
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# 教科書のない教室が生みだすインストラクショナルデザイン（学習設計）の力

カナダで15年以上、小学校の教壇に立ってきた私ですが、教育に携わる中で多く聞かれる質問があります。それは「インストラクショナルデザイン（学習設計）は、企業研修や大学の専門家がやるものではないですか？」という問いです。

たしかに、インストラクショナルデザイン（Instructional Design）という言葉を聞くと、eラーニングの制作現場や、大企業の人材開発部門のイメージが浮かびがちです。

しかし実際に、カナダの小学校の教室でインストラクショナルデザインの思考と実践を深く育て、得たものは、想像をはるかに超える子どもたちの変化でした。

Unfold Learning Designでは現在、エドテック企業や教育出版社、カリキュラム・教育プログラム開発者、そして学校や教育機関を対象に、教材・プログラム・アプリが初等・中等教育の現場の文化や学習環境へ本当になじむ形で取り入れられるように、設計と統合のサポートを提供しています。

この仕事の核心にあるのが「学習者のニーズや課題、目標を深く理解した上で、学びをていねいに組み立てる力」です。今回は、カナダの教室で繰り返す実践したこと、感じたことを、お伝えしたいと思います。

### 「共通の教科書」がない、カナダの小学校

この話を日本ですると、多くの方が驚くのですが、カナダの小学校には「共通の教科書を使って授業を進める」という文化がありません。

教科書が制作されていない、というわけではないのですが、教科書を購入するかどうかは学校の判断により、教科書を使用しないという選択も多くみられます。また、教科書を導入する場合も、授業の「主軸」として使う例はほとんどありません。

それでは、カナダでは何を軸に授業を組み立てるのでしょうか？ その答えは、各州が定めるカリキュラム、いわゆる「Curriculum Expectations（期待される学習到達目標）」です。

教師はまず「学習到達目標」を深く読み込みます。その上で「目標を達成するには、どんな授業をどのような順番で、どのくらいのペースで提供するのか」というベースを、ほぼゼロから設計していきます。

年間指導計画の立案から、各学期にどの単元を扱うかの判断、さらには単元ごとの評価課題（テスト、プロジェクト、ポートフォリオなど）の設計まで、すべてが教師の手に委ねられているのです。

### 「ゴールから逆算して設計する」という習慣

カナダで授業のプロセスを設計する際、中心的な考え方として用いられるのが、「Backward Design（逆算設計）」という原則です。

「逆算設計」は、最初に「学習者が最終的に何を理解し、何ができるようになるべきか」というゴールを明確にします。その後、目標達成に向けて、必要な評価方法や学習活動を組み立てていく考え方です。「何を教えたいか」ではなく、「学習者に何を身につけてほしいか」から授業を設計するアプローチになっています。

カナダの小学校教師は、この「逆算設計」を日常的に、ほぼ無意識レベルで実践しています。「学習到達目標」というゴールが先にあり、ゴールへ到達するには「どのような評価課題が適切なのか」「評価に向けて、どのような授業の流れが有効か」「どのような教材や活動が、子どもたちの理解を深めるのか」という順で、思考を積み上げていきます。これはまさに、インストラクショナルデザインの根幹にある考え方と同じです。

「ゴールから逆算する」という思考習慣は、初等・中等教育向けの教材やプログラム、アプリを現場に統合する際にも力を発揮します。「このツールで何ができるか」ではなく「この学校・このクラス・この学習者にとって、何が達成されるべきか」を起点に考えられるため、現場での定着度向上につながります。

### 多様なニーズに応じた「学びの組み合わせ」を設計する力

カナダの教室が持つもう一つの特徴に、多様性への対応力が挙げられます。

カナダは、インクルーシブ教育（inclusive education）の環境が整っており、英語が母語でない子ども、さまざまな学習上のニーズを持つ子ども、異なる文化的背景を持つ子どもなど、多様な学習者が同じ教室で学んでいます。これは特別なクラス編成ではなく、カナダで一般的にみられる小学校の学習風景です。

このような多様な環境は、一つのスタイルですべての子どもへ同じ教育を届ける、という授業が、現実的に難しくなります。そこで、カナダの小学校教師は、複数の指導形態を状況に応じて組み合わせて、授業を設計します。組み合わせのパターンは、クラスの状況や単元の性質によって都度異なります。

クラス全体への一斉指導で、基本的な概念を共有する時間もあれば、習熟度や興味関心に応じた小グループを構成して、より細かく目を配りながら学習を深める時間もあります。個別に読み書きをていねいに指導する時間を設けながら、同時に他の子どもたちが自律的に学習を進められる環境を整える、といった配慮も、日常的に行われています。

「課題や目標に応じて、学び方の組み合わせを判断する」この実践の積み重ねは、初等・中等教育の現場を統合する設計にも、そのまま生きてくると感じています。

「このプログラムはクラス全体、特定のグループ、個別学習のどの場面に組み込むのか有効なのか」このような問いに、現場の実態から答えられる判断力が身についていれば、単なる導入ではなく、本当の意味での統合を目指せると思います。

### 「現場に合わせた調整」が実践されているカナダ

教材やプログラム、アプリが初等・中等教育の現場に持ち込まれるとき、起きがちなのが「ツールと現場のミスマッチ」です。どれだけ優れた教材であっても、学校のカリキュラムや学習者の課題・目標とマッチしていない、教師の指導スタイルとうまく噛み合っていない、という場合、現場での活用が長続きしません。

カナダの小学校教師は、こうした「調整」をすでに日常的に実施しています。たとえば、参考資料として手元にある教科書の単元構成が、州のカリキュラムの「学習到達目標」と完全に一致していないとき、教師は自らの判断で内容を取捨選択し、必要な部分だけを授業に組み込みます。

その他にも、授業を進める中で、クラスのある子どもには内容が適しているけれど、別の子どもには届いていない、という場合、その場ですぐにアプローチを切り替える、といった場面もみられます。

「与えられた教科書や資料をそのまま使うのではなく、学習者の課題や目標に合わせて最適化する」この思考と実践の積み重ねが、初等・中等教育の教材やプログラムをその学校や地域の現場に根づかせる、土台になると私は考えています。

### 学習設計の力を初等・中等教育の現場に

インストラクショナルデザインは、「企業研修やeラーニングの世界の話」と受け取られがちです。しかし、初等・中等教育の現場でも、必要になっていく力だと感じています。取り扱う教材・プログラム・アプリの良い点が、その学校ならではの課題や目標達成につながるように、設計・統合できる専門性が、今後ますます求められていくはずです。

カナダの小学校教師として、教室の中で培ってきたゴールから逆算する力、多様な学習者のニーズを読む力、そしてツールと課題・目標を結びつける調整の力。Unfold Learning Designがエドテック企業、教育出版社、カリキュラム・教育プログラム開発者、そして学校や教育機関の方々とともに目指したいのは、これらの力を活かした、初等・中等教育の現場へ本当になじむ学びの設計です。

教材やプログラム、アプリを、これから現場に統合したい、そう検討されている方とも、初等・中等教育における学習設計について、一緒に考えていければと思っています。